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生成AIでウェス・アンダーソンの世界観を再現 vol.1

こんにちは、ムーングラフィカのスタッフNagaokaです!

昨年少しトライしていた生成AIを使った画像や動画制作。そのときの技術がさらに進化していることを知り、再チャレンジしてみることにしました!ウェス・アンダーソン監督の映画が大好きな私は、その独特な色彩や構図を生成AIで再現できるのかを試してみることにしました。

まずは練習から

ジャパニメーションで古事記を動画化

最初のステップとして、生成AIに慣れるために「古事記」を題材にしたジャパニメーション風の短い動画制作に挑戦しました。
題材はスサノオの物語。まずChatGPTに台本を作成してもらい、シーン数やキャラクター設定を具体的に指示。その後、ChatGPT内のプラグインGEN3を使って画像生成を試みましたが、以下の壁にぶつかりました。

  • 古事記関連の具体的なイメージ生成が難しい
  • キャラクターの外見や特徴を統一できない
  • 著作権の問題で一部の生成が制限される

そこで他の生成AIツールも試した結果、最終的にMidJourneyを選択し、本格的に制作をスタートさせることにしました。

MidJourneyでの画像生成

プロンプトの調整とキャラクター固定

MidJourneyは以下の点で他の生成AIツールと比較して優れており、制作において非常に有用でした。

  • 柔軟なプロンプト設定:詳細な指示や調整が可能で、アートスタイルやキャラクターの固定も実現できる。
  • 高い画像クオリティ:ディテールの再現性が高く、生成結果を元にさらに細かな調整が可能。
  • パラメーターと参照画像の活用:StyleReferenceやCharacterReferenceを使い、理想的なビジュアルを追求できる。
  • 著作権の柔軟性:生成制限が少なく、オリジナル性の高い作品が作りやすい。

GEN3では、特定のテーマや文化に基づいたイメージ生成が困難であり、生成物に制限がかかることが頻繁にありました。一方、MidJourneyでは、「ウェス・アンダーソン風」といった具体的なスタイル指定を含めたプロンプトが有効に機能し、狙い通りのビジュアルを得られることが大きな利点でした。試行錯誤を重ねながらMidJourneyに慣れ、制作プロセスを進める中で多くの可能性を感じることができました。

MidJourneyで生成したウェス・アンダーソン風の画像

MidJourneyで生成したウェス・アンダーソン風の画像

Wes Anderson style,film still,dance fashion

テーマ決定

ウェス・アンダーソンの特徴的な世界観を再現するテーマとして、ビートルズの「Lucy in the Sky with Diamonds」を選びました。楽曲の幻想的な雰囲気が、視覚的にユニークなアプローチと相性が良いと考えたからです。

    1. プロンプト作成

ChatGPTで歌詞を和訳し、シーンごとにプロンプトを作成。

    1. キャラクター・トーンの固定

MidJourneyで、ルーシーの顔立ちや衣装を統一するために以下の手法を使用。

  • StyleReference や CharacterReference を活用。
  • /shorten コマンドでプロンプトを分析し、不要な要素を削除。
  • プロンプトの冒頭に「Wes Anderson-style movie stills」を追加し全体のトーンを統一

これにより、鮮やかでシンメトリカルな構図が簡単に生成できました。

MidJourneyで生成したウェス・アンダーソン風の画像

Wes Anderson style,film still, Lucy super cute 18 year old Japanese girl with black long hair

動画化とGEN3の活用

生成した画像を動かして動画化するには、Runway GEN3を使用。ここでもプロンプトの工夫が求められました。
GEN3では「Wide angle」や「ascends」といったカメラワークの指定が可能。公式サイトのプロンプト一覧を参考に作成しました。

初めて生成した「Lucy in the Sky」のシーンがこちら。

Wes Anderson style, movie still, sky and diamonds in the background, lucy is a super cute 18 year old Japanese girl with long black hair, white dress, covered in diamonds, full body, floating in the sky

生成された5秒間の映像は、想像以上の美しさで、生成AIの可能性に改めて驚かされました。生成AIならではの「ガチャ要素」も楽しみの一つです!

調整と完成

もちろん、生成AIならではの「ハルシネーション(誤生成)」も頻発。特に動きのあるシーンではキャラクターの顔が崩れてしまうことが多く、根気強い調整が必要でした。

次回予告

第1弾では、テーマ決定と生成の最初のステップについて紹介しました。次回は、生成された画像や動画を公開し、MidJourneyを使用して得られた新たな発見や、制作中に直面した課題について掘り下げます。